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フロンティア市場とは?意味や特色は?投資や進出のリスク、予測は?

フロンティア市場とは経済発展の比較的初期段階にある国々のことです。高い経済成長率や豊富な天然資源に恵まれているものの、政情不安などリスクが大きいといわれています。今後も高い成長率であると予想されます。フロンティア市場は次の新興国候補として、世界に大きな影響を与える可能性があります。この記事では、フロンティア市場の定義や特色、投資リスク、将来予測についてまとめました。

フロンティア市場とは?

フロンティア市場とは中・低所得国の市場のことです。統一された定義はないものの、金融市場を有する、新興国に属しない発展途上国での市場が一般的にフロンティア市場と呼ばれます。

これまで投資先としてのアクセスが難しかったことから、名前のとおり未開拓(フロンティア)であった市場です。

フロンティア市場の所属する国々の例

アジア アフリカ 中東 南米 ヨーロッパ
バングラディシュ
ベトナム
スリランカ
パキスタン
ナイジェリア
ケニア
チュニジア
モーリシャス
モロッコ
バーレン
ヨルダン
レバノン
クウェート
オマーン
アルゼンチン
エクアドル
コロンビア
ジャマイカ
パナマ
ペルー
カザフスタン
スロベニア
クロアチア
ウクライナ
ブルガリア
セルビア
リトアニア
エストニア

上記の表のようにフロンティア市場に含まれる国はアジアやアフリカ、中東、ヨーロッパなど、幅広く分布しています。

フロンティア市場は発展段階にあり、現段階では小規模で、なおかつ流動性は低いです。政治的なリスクも大きく、国際情勢次第で大きく個別企業の業績が下振れする恐れがあります。

ただ、リスクが大きいということは成功した時のリターンも大きいといえます。実際にフロンティア諸国の経済成長率は先進国よりも高く、将来の新興国候補と目されています。今後もフロンティア市場はさらなる経済成長が予測され、市場への投資の増加が見込まれています。

 

フロンティア市場の特色は?

フロンティア市場には大きく2つの特色があります。

フロンティア市場の2つの特色

  1. 成長率の高さ
  2. 豊富な天然資源

1.成長率の高さ

フロンティア市場の代表的な特色として、潜在的な経済成長率の高さが挙げられます。

IMFの予測では、2019年にかけてフロンティア諸国の経済成長率は先進国の成長率を上回るとされています。特にスリランカやベトナム、ケニアなどの成長率は大きく予測されています。

フロンティア市場における経済成長率の高さの主因は「a.人口要因」と「b.財政要因」に大別されます。

a.人口要因

多くのフロンティア市場は経済成長に有利な人口ボーナスにあります。

先進国は高齢化が進んでおり、労働力人口の減少が経済成長に下押し圧力を与えています。

フロンティア市場の諸国は人口構成が若く、経済成長が促進されます。生産年齢人口も増加傾向となり、2020年までに労働者の割合が先進国を上回ると予想されています。

労働者が多い分、他の国と比べて低賃金となる傾向が強く、他の国からの企業進出が期待されます。低コストの生産拠点としてメリットがあるからです。

b.財政要因

フロンティア市場の諸国は、特に先進国と比較して債務残高が少ないという特徴があります。

債務の残高が少ないことは経済成長にプラスです。フロンティア市場では債務残高が少ないために、デフォルトを始めとした投資のリスクも低くなります。リスクが小さいことから投資を呼び込みやすく資本が揃えやすくなります。

逆に先進国では政府債務の膨張が問題となり、経済成長を鈍化させる原因となっています。

財務省のホームページの2015年11月のOECD「Economic Outlook」によると、2016年では対GDP比で日本の財務残高は約232.4%と最も多く、ギリシャが約200.0%、イタリアが約159.9%でした。

IMFのデータでは2012年末での政府債務残高の対GDP比は、先進国全体で約120%となりましたが、新興国とフロンティア国は合わせて約47%となりました。

高い財務残高は投資を躊躇させることから、あまり望ましくないのです。フロンティア市場の債務残高は低いことから投資が集まりやすく、高い経済成長に繋がります。

2.豊富な天然資源

フロンティア諸国は先進国より原油や天然ガスなどの天然資源が豊富です。原油生産国の中でもサウジアラビアやアラブ首長国連邦、クウェート、ナイジェリア、カザフスタン、カタールはフロンティア諸国となっています。

国によっては天然資源に恵まれない国もありますが、全体的な傾向として豊富な天然資源に恵まれています。豊富な天然資源は経済成長や投資の拡大に寄与するでしょう。

 

フロンティア市場への投資のリスクは?

今後の高い成長率が見込まれる一方で、フロンティア市場への投資には先進国や新興国よりも多くのリスクが伴います。

一般的にフロンティア諸国では、経済や政治事情が安定しておりません。政局が不安な状況では投資のリスクが高まります。経済活動が停滞し、リターンが望めないことから投資が消極的になるためです。

フロンティア市場は流動性が低いことも問題として挙げられます。

フロンティア諸国では経済や政治のシステムに関する整備が遅れる傾向があります。金融システムの整備の遅れは株式の流動性を下げる原因です。流動性が低ければ、小規模の取引で株価の値動きが大きくなります。

フロンティア市場では公開されている情報が少ないことも投資のリスクを高めます。決算報告書などの情報の入手が限られてしまいます。不十分な情報の中で投資をする必要があることから、リターンを見極めることが難しいのがフロンティア市場の難点です。

フロンティア市場に投資するときは、国際情勢を判断しつつも信頼度の高い情報をどのように得るかが重要となります。

 

今後のフロンティア市場の予測は?

フロンティア市場は今後も高い経済成長が期待されます。

高い経済成長がされるフロンティア市場は世界市場に与える影響も注目されています。今までは先進国や新興国という概念が一般的でした。今後はフロンティア市場の拡大に伴い、市場の在り方に変化が生じるでしょう。

ただ、フロンティア市場の全ての国々が、一律に高い経済成長にあるというわけではありません。フロンティア市場の諸国の間でも経済成長率の差が見られます。

IMFによると、アジア・アフリカ諸国の成長率は相対的に高くなるとしています。一方で、欧州のフロンティア諸国の成長率は鈍化することも予測されています。

欧州のフロンティア諸国は生産年齢人口の割合が低い傾向にあるのが要因です。ユーロ圏とのつながりが深く、ユーロ圏の経済停滞に伴い、貿易面で経済成長が鈍化する可能性もあります。

今後もフロンティア市場の国々で経済成長が期待されるものの、各国ごとに注目する必要があるようです。特に欧州のフロンティア諸国は、ユーロ圏の経済事情に合わせて判断することをオススメします。

 

フロンティア市場と世界

フロンティア市場は、高い経済成長率や低い債務残高、経済成長に有利な人口構成などの魅力がありますが、まだ不明瞭な側面も見られます。

フロンティア市場の定義が明確でないことや、フロンティア諸国間での経済成長率の差、政治情勢など、全体として不安定な印象が残るといえます。

リスクが多い分、リターンが大きくなると予想され、ハイリスク・ハイリターンの市場となるでしょう。基本的な投資の環境は整っているので、今後はフロンティア市場の不安定さもある程度解消されると考えられます。

経済成長率が高いことから、投資先だけでなく多くのビジネスチャンスが見込まれる潜在的なマーケットともいえます。

今のうちにフロンティア市場について理解を深めることで、投資に活用したり、世界情勢を先読みする際に役立てることが可能です。

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