20代で読んでおくべき本「荘子」書評

書評・レビュー

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「荘子」についてまとめました。荘子は道教の祖とされる人物の1人です。荘子は自然体でいることを説いています。私欲にかられて自然体でいることができていない人が多い今の世の中に必要な1冊です。

荘子ってどんな本?

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荘子はいまから約2300年前、中国の戦国時代中期にできたとされる思想書です。この書のテーマはすべてのことをあるがままに受け入れること。そうすることで心の自由を得られるとしています。

この書は荘子とその弟子たちが書き継いだものがまとめられたものです。歴史的に見ても師匠と弟子との合作は珍しいスタイルです。

社会に出ればいいことばかりではありません。むしろ悩み苦労することがほとんどです。壁にぶつかったとき自分の思考をどう切り替えていくか。メンタルの強さではなく、柔軟性の必要性を感じてもらい、肩の力を抜くことを覚えてもらうためにお薦めの1冊です。

 

全てを受け入れること

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ありのまま全てを受け容れることに真の自由があるという思想を寓話を用いながら説いています。実は「小説」という言葉の起源はこの荘子です。

小説を飾りて以て県令を干(もと)む
意味「つまらない論説をもっともらしく飾り立てて、それによって県令(県知事)の職を求める」出典:荘子

それらしいことを大げさに話すような人には大きな栄光は訪れないと言っています。いい意味ではないのですがこれが小説という言葉が使われた最古の用例です。

荘子は管理や罰則といった儒教や法家国家的な考え方とは一線を引き、果たしてそれは個人の幸せにつながるのかという視線が常にあります。

「万物斉同」荘子の根本は対立や差別、美醜、善悪、生死などは真の姿ではなく、そもそもそんなものは存在しないという考え方です。つまり自然であること、無意識であることが最も重要なことだと繰り返し説いています。

死生は命なり。其の夜旦の常あるは天なり。人の与るを得ざる所あるは、皆物の情なり。
意味「死があり生があるのは運命である。あの夜と朝のきまりがあるのは自然であるように、人間の力ではどうすることもできない。それが万物の真相である」出典:荘子

生死をあまりにも分けて死を忌み嫌うのは間違いです。だからこそ覚悟してぎりぎりのところで自然体でいることが本当は強いことではないかと説いています。

 

自然体でいること

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常に自然に因りて生を益(ま)さざるべし
意味「自分の生にとってよかれという私情こそがよくない、それが身の内を傷つけるのだから、私情ではなく自然に従うべきだ」出典:荘子

今の時代はその正反対で、自分の生にとっていい情報しか求めていません。いい情報だと思い集めてみても実際何も行動していなかったり、またやってみても自分に合っていないものだったりもします。

要はどこかに無理があると自分が窮屈になってしまうのです。情報もあまりに増えすぎると自分の中で処理できずパンクしてしまいます。自分の思いや感じたままに素直にいること。自然体でいれば必要なことは勝手に向こうからやってきます。

 

何事にもとらわれないこと

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無用の用という言葉を聞いたことはないでしょうか。

人は皆、有用の用を知りて、無用の用をしるなきなり
意味「人は役に立つものばかり追い求め、役に立つか立たないかという狭いものの見方しかできなくなっている。一見役に立たないけれども、本当は有用だというものがたくさんあるのに、そういったものには目がいかない」出典:荘子

これは遊びごごろです。心の余裕です。一見役に立たない大木も舟遊びや昼寝という遊びの境地にたてば一気に「大用」に変わります。

それは人の役に立とう立とうとするとかえって自分自身が苦しんでいる状況を解放してくれます。何事にもとらわれず伸び伸びと生きることを説いているのです。

 

私情だけで考えないこと

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個人だけではなく国についてもこんなことを言っています。

物の自然に順(したが)いて私(し)を容るることなければ、而(すなわ)ち天下治らん
意味「私情を挟まなければ天下はうまく治まる」出典:荘子

今は国と国がエゴをぶつけ合っています。

例えばグローバリズムの名のもとに行われていることは世界全体の利益のことを考えているわけではありません。欧米の価値観を一方的に押し付けている一面もあり、それがかえってテロを煽る要因だったりします。

さまざまな民族や宗教による考え方の違いは相対的で、絶対的に正しいことは1つしかないというものではないと主張しているのが荘子です。個人も国もエゴを主張しあう今だからこそ肩の力を抜いて和を目指すことを説いています。

 

道(タオ)

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荘子は人の考えが及ばないあらゆるもののありようを「道(タオ)」と言いました。言い換えればそれが「自然」でもあります。

いかに自分が自然体でいるか。様々な情報を手に入れられる今だからこそ、そのなかから自然体の自分を選べる無意識の感覚を持つことが求められているのかもしれません。

 

受け入れて先に進む:編集後記

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自然体でいることはとても難しいことです。どうしても欲がでたり、自分をよく見せるために飾り立てたりしてしまいます。ただ荘子ではそれを良しとはしません。

荘子の思想を表す説話として「胡蝶の夢」と言うものがあります。

ある日荘子は夢を見ました。夢の中で荘子は胡蝶(蝶のこと)となってひらひらと飛んでいました。そこで目が覚めましたが、果たしてそれは荘子が蝶の夢を見たのでしょうか。それとも蝶が今荘子の夢を見ているのでしょうか。

ここでは夢と現実が対比されています。荘子の思想をもとにすれば、それが夢であっても現実であってもどちらの状態も受け入れるべきなのです。それが全てを受け入れることです。

荘子であっても蝶であってもどちらも自分であることに変わりはありません。どちらも受け入れて、その状態に満足して生きればいいのです。

辛いことや悲しいことがあったとき、それを受け入れるのが難しいでしょう。ただ真実はそこにあります。全てを受け入れて乗り越えることが大切なのです。

この本を読んで、自然体でいることを目指してくださいね。

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