20代で読んでおくべき本「星の王子さま」書評

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「星の王子さま」についてまとめました。「星の王子さま」は子どもが読む本だと思っていませんか?この本は読めば読むほど奥深く、「大人」になって忘れてしまったことを思い出させてくれるのです。

星の王子さまはどんな本?

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星の王子さまは第二次大戦中、フランスの作家アントワーヌ・ド・サンデグジュペリが子供向けに発表した作品です。語り手であるパイロットがサハラ砂漠に不時着し、そこで出会った不思議な王子様の少年との物語となっています。

なかには話の内容がよくわからない、謎めいたところがたくさんあります。大切なことは目に見えません。見えない大切なことに気づき、それを大事に守りながら生きていくことをサンデグジュペリはメッセージとして伝えています。

これから社会で様々な経験を積んでいく20代の人に、人として忘れてはいけないことをあらためて考える機会にしていただけたらとこの本を薦めます。

 

星の王子さまの内容は?

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物語はパイロットが飛行機の故障でサハラ砂漠に不時着するところから始まります。パイロットはそこで不思議な少年と出会います。

その少年は家ほどの大きさしかない小さな星からやってきた王子さまでした。王子さまは、王子さま自身が世話をしているバラの花と心を通わせることができず、傷ついた心で星めぐりの旅に出ていたところでした。

ただ、地球に来ても変な大人に会うだけで仲良くなれず、王子さまの寂しさが増すだけでした。その後ようやくキツネやパイロットと友達になりますが、残してきたバラのことが気になって最後は毒ヘビに自分を噛ませ、魂になって星に帰っていきます。

この物語はハラハラドキドキするストーリーではありません。考えさせる物語です。王子さまの傷心と心の成長を語り、パイロットの孤独と王子さまとの交流による救済を語る、とても生真面目で淡々とした話です。サラっと読み流すこともできます。何の印象も残らず、こんな本だったの、で終わることもできてしまいます。

ただゆっくり考えながら読んでいくと、おかしなところ、意味がわからないところ、考えさせられるところが次々と出てきます。まるで迷路に迷い込んだ謎解きのような面白さがあるのです。

 

星の王子さまの名言①

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おとなは数字が好きだから。新しい友だちのことを話しても、おとなは、いちばんたいせつなことは何も聞かない。「どんな声をしてる?」とか「どんな遊びが好き?」「蝶のコレクションしてる?」とかいったことはけっして聞かず、「何歳?」「何人きょうだい?」「お父さんの年収は?」などと聞くのだ。出典:星の王子さま

とても平易な言葉でぐさりと突き刺さる一節ではないでしょうか。この文章にハッとした人は「大人になってしまった」ということなのかもしれません。

子供のころは何も考えず無邪気に話していたはずです。成長するにつれ新しい出会いのたびにどうやって打ち解けようかと無難で共通な話題から話し始めます。するとどうしても、目に見えることや、数字にこだわってしまいます。

それが最も簡単だからです。自分が数字で判断された時はどうでしょうか。ちょっと嫌な気分になってしまいませんか。自分がされていやなことを無意識のうちにするのが当たり前になっている、大人にはそんな矛盾したところがある。この名言からは、こんな解釈ができるのです。

 

星の王子さまの名言②

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でもぼくには、ばかげて見えないのはあの人だけだ。それはきっとあの人が、自分自身以外のことをいっしょうけんめいやっているからだろう。出典:星の王子さま

小さな星の点灯と消灯を1分毎に繰り返して、寝る間もないほど働いている点灯人と出会ったときの言葉です。王子さまが言いたいのは、必死に働いているその仕事は、自分以外の誰かのためになっているかどうか、美しいことかどうかです。

点灯人は効率も要領も悪く、仕事を手抜きすることも考えません。それは大人たちから見れば仕事の進め方が悪いということになります。

ただ点灯人がやっている仕事は誰かのためになっています。点灯人自身はそれを直接確認することはできませんが、点灯人が星を点灯することで人々は星が輝いているのを見ることができるのです。何億個の星のうちたった1つの星ですが、その星を眺めた人にとって救いになるかもしれないのです。

 

星の王子さまで伝えたいことは?

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いろいろと考えながら読んでいくといつのまにか物語の中に吸い込まれていきます。王子さまやパイロットの心の揺れ動きを感じ、一緒に感動する読み方ができます。気になるところ、印象的なところが特に説明されているわけでもなく、物語のなかにたくさん散りばめられています。

その先に見えてくるのは見えない幸せな世界です。大切なことは目に見えません。目に見えないことを大切にして生きていくことで幸せな世界が広がっていきます。 目に見える、外側に現れていることからしか人を判断できなくなることほど悲しいことはありません。目に見えないからこそ想像すること、心で感じることが大切です。

数字や時間、締め切りに追われる毎日の中でふと立ち止まって、特にこれと決めずに様々なことを考える時間を持てていますか。緊急ではないけど重要なことにどれだけ時間をさけていますか

この本を特に時間を決めず、ゆっくりと味わいながら読みふけり、いろいろなことを考えてみてはいかがでしょうか。

 

大切なことを忘れているのは「大人」だけ?:編集後記

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「星の王子さま」は、目に見えないことこそ大切だということを思い出させてくれる本です。仕事に忙殺される「大人」がいつの間にか忘れてしまったことを、様々な話に散りばめながら伝えてくれていることがわかります。

ただ、大切なことを忘れてしまっているのは本当に「大人」だけでしょうか。就活生や社会人になったばかりの20代前半の若手ビジネスパーソンにも当てはまるのではないでしょうか。

就職する時、企業の年収や評判だけを見ていませんか。それは表面だけを見て大切な部分を見ていないのと同じことです。就職は結果ではなく過程です。入社してからがスタートなのです。入社すれば働くわけですから、実際に企業で働く人を見なければ大切な部分を見たとは言えません。

仕事は、何のためにしていますか。近年、若手ビジネスパーソンの転職が増加しています。もちろん、明確な意思をもって転職に臨むのは素晴らしいことです。ただ、なんとなく今の会社が嫌だから転職している人は、一度ゆっくり考えてみるのがオススメです。

何のため、誰のために働くのかわからなければ、星の王子さまの「自分自身以外のことをいっしょうけんめいやっている」状態にはなりません。

この記事の編集者も20代です。20年余りの間に、忘れてしまったものもたくさんあります。大切なのは、忘れてしまったと感じた時点で立ち止まり、思い出す努力をすることだと思います。

「星の王子さま」を読みたくなった人はぜひ読んで、忘れてしまった大切なものを思い出してみてくださいね。


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