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二重システム理論とは?日常に影響を与える?

この記事の結論は「二重システム理論とは、人間の脳がシステム1とシステム2の2つのシステムに支配されているという考え方。システム1は感じるシステム。システム2は考えるシステム。人間は感じるシステム優位な生き物である」です。友人の中に、共感できない感情を感じたことはありませんか?実はこれは人間の二重システム理論に関係があるのです。この記事では二重システム理論とは何か、現実にどんな影響があるのかについてまとめました。

二重システム理論とは?

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二重システム理論は二重過程理論とも呼ばれます。二重なのは人間の脳のシステムです。脳は様々な情報を処理していますが、この処理システムが2つある、ということです。1つの脳の中に2つの心が存在していると言うこともできます。

例えば買い物をする時、直感的にほしいと感じて衝動買いしてしまうときと、いくつか見比べてより良いものを買おうとするときがありますよね。これが、処理システムが2つあるということです。

2つの処理システムは以下のように呼ばれます。

  • システム1
  • システム2

このシステムの呼び名は研究者によって様々です。一般的には「システム1」「システム2」と呼ばれますが、例えばシステム1は「自律的システム」、システム2は「分析的システム」のように、理解しやすいように様々な名前がつけられています。

二重システム理論という用語をもともと提唱したのは、スタノビッチとウェストという2人の心理学者です。二重システム理論を展開したダニエル・カーネマンは2002年にノーベル経済学賞を受賞しています。

以下、それぞれの特徴をまとめました。

システム1とは?

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システム1とは、物事を直感的に処理するシステムです。かみ砕いていえば、「感じる」システムですね。システム1はどのような場面で働くのでしょうか。例を挙げて説明します。

外出する際、突然目の前を黒猫が横切りました。「黒猫が目の前を横切る」という事実が不幸をもたらすことを論理的には説明できません。しかし、何となく薄気味悪く感じる人が多いのではないでしょうか。

この「何となく」がポイントです。理屈がないために明確ではないものの、不穏な印象を受けてしまいます。これはシステム1の働きによるものです。

このほかにも、ほとんど攻撃性を持たないゴキブリに対して恐怖を抱くケースがあります。ゴキブリが汚い、というならある程度の論理性がありますが、「怖い」となると論理性はありません。「○○さんはゴキブリに襲われて全治××日のケガをした」といったニュースは聞いたことがないはずです。

システム1は脳の原始的な部分(=古い脳)に対応すると考えられています。感情に左右されるため、論理的に正しくないものや説明できないものに対しても意思決定をするのです。感情的な意思決定にはシステム1が働いているといえます。

 

システム2とは?

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システム2とは、物事を論理立てて、系統的に処理するシステムです。無意識ではなく、意識的な処理が行われます。よりかみ砕いていえば、「考える」システムです。システム2だけで情報を処理する場合、どのようなことが起こるのでしょうか。再び黒猫の例で考えています。

外出する際、突然目の前を黒猫が横切りました。この時「何やら不吉な印象」を持たないのがシステム2です。なぜなら、黒猫が目の前を横切ったところで、悪い出来事が起こると論理的に説明できないからです。

一方、外出時に空を見上げると何やら黒い雲が広がってきています。システム2では、黒雲の出現は悪い出来事(激しい雷雨など)の予測につながります。黒雲が広がってきた場合、大気の状態が不安定になっており、激しい雷雨の可能性が高いと理論的に説明できるからです。

 

システム2は大脳新皮質の前頭前野(=新しい脳)に対応すると考えられています。そのため動物にはないシステムです。論理的に考えることができますが、その分負担も大きく、全ての意思決定をシステム2が行うと大変です。

そこでシステム1が簡単な意思決定を行い、複雑な意思決定をシステム2が行うことで多くの情報処理を行っています。

 

二重システム理論は日常に影響を与える?

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【二重システム理論まとめ】

システム1
(「感じる」システム)
システム2
(「考える」システム)
直感的 分析的
速い 遅い
自動的 思考的
連想的 規則的
マルチタスク シングルタスク
労力は不要 労力は必要
学習速度は遅い 学習速度は速い

2つのシステムのうち、私たちの行動により強く影響を与えているのはシステム1です。人間は論理的に考える動物だ、と思っている人にとっては驚きかもしれませんね。確かに人間は論理的思考ができるのですが、直感的な処理のほうを優先してしまう傾向があるのです。

自律的システムの影響が大きいことがわかれば、人間関係を良好に保つのに役立ちます。例えば、他人が筋の通らないことを言っている場合(例:彼女から電話がかかってきて「ゴキブリが怖いから寝られない」と言われた)にも冷静に対処できます。

筋が通らないことを淡々と説明したところで、相手は納得しません。自分がシステム2によって処理している情報を、相手はシステム1で処理しているからです。「何を理屈の通らないことを言っているんだ」と考えるのではなく「相手の感覚(気持ち)」を尊重するようにしましょう。

「ゴキブリが怖い」だと共感できる人が多いかもしれません。ただ場合によっては、親しい友人等の身近な存在が、共感しづらい感覚を持っているかもしれません。よほど気味悪く感じられる場合は付き合いをやめるのも1つの選択肢です。

ただ、人間はシステム1により強く支配されていることを踏まえて、ある程度は大目に見てあげると人間関係が滑らかになります。

 

直感的判断優位な二重システム

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人間の脳が二重システムになっていることは、あまり知られていません。何となく脳は論理的思考と直感的判断の両方があると理解していても、論理的思考が勝ると考えている人が多いのではないでしょうか。

実は人間の脳は直感的判断に強く支配されています。このことを知っていれば、他人が筋の通らないことを言っていても「システム1(「感じる」システム)の働きだな」と思えば大目に見てあげることができます。

またシステム1が優先されることを知っていれば、マーケティングにも応用できます。売りたい商品を、システム1が働くように見せればいいわけです。

雰囲気のあるお店で食べるカレーは美味しく感じますが、便器の形をした皿に乗ったカレーは食べる気がしませんよね。論理的には同じカレーですが、感情的には違うものを連想してしまいます。システム2(「考える」システム)よりシステム1(「感じる」システム)を優先している証拠です。

見せ方次第で印象を変えることができるのです。

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