20代で読んでおくべき本「論語」書評

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「論語」についてまとめました。論語は2500年ほど前の孔子を言葉をまとめたものです。日本はまだ縄文時代だった頃の言葉は、現代の生き方にも当てはまります。

論語ってどんな本?

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論語は今から2500年ほど前、中国の春秋時代を生きた思想家、孔子の言葉をまとめたものです。

人としてどう生きるか。弟子からの質問に孔子が答えるという形式で書かれているので、若い人たちが読み、生きる糧にするのにぴったりです。

孔子が人生で1番大切にしていることは思いやりと言っています。他人ではなく自分を思いやることです。多くの挫折を経験しても丁寧に、また自分の人生を肯定し続けた孔子の言葉から、どう生き続けるかを学ぶことができます。

 

論語の歴史と本質

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儒教の祖とも言われる孔子。約3000人とも言われる弟子を抱えて私塾を開いていました。塾に入るためには肉の束を持ってくるだけでよかったそうです。日本でも湯島聖堂など全国各地で孔子を神として祀っている所があります。

孔子が話したことや、質問に答えたりしたことが弟子から弟子へと伝えられ、孔子が亡くなった後何百年かのちにまとめられたのが論語です。

儒教が日本に入ってきたのは聖徳太子が活躍した飛鳥時代と言われています。特に盛んになったは江戸時代です。忠孝や礼節といった儒教の精神が武士の心構えとして学ばれ、また封建社会であったことから支配していた武士の側に都合のいいように解釈されていました。

論語はどこか古くさくて説教じみたイメージがあるかもしれません。確かにそういう要素も一部ありますが、それがすべてではありません。本来の論語は400字詰原稿用紙で30枚程度の短編です。

孔子オリジナルの言葉に後世の学者が多くの解釈をつけたことで、本編よりも解釈の方が長くなってしまいました。またこの解釈が当時の政治に利用されたりして、孔子本来の考え方が誤解されて伝わることなってしまいました。

本来の論語はただ道徳的なことを教えたものではなく、人間が生きていくうえで必要なあらゆることに言及した総合的な人間学です。印象としては人生相談所です。教えを授けるのではなく、実際は弟子に自ら考えさせる言葉を残しています。

 

思いやり

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其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ。出典:論語

孔子は人生で1番大切ことを「恕(=思いやり)」と言っています。そして自分がされて嫌なことを他人にしてはいけないと続けます。

思いやりは、今では他人に対して外を向いている意味合いで使われますが、孔子は反対です。思いやりはまず自分にかけてあげるものだとしています。自分を甘やかすことではなく、自分を大切にする、自分を労わる、自分自身を奮い立たせる。それがなければ他人を思いやることはできないということを言いたかったのです。

 

自分の励まし方

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自分の励まし方についてはこのように言っています。

子貢曰く、貧しくして諂う(へつらう) こと無く、富みて驕ること無きは如何。子曰く、可なり。未だ貧しくして道を楽しみ、冨みて禮を好むものには若かざるなり。
訳「貧乏で卑屈にならず金持ちで驕慢(きょうまん)にならないというのはいかがでしょうか?」「それも良いだろう。しかし、貧乏であっても道義(学問)を楽しみ、金持ちであっても礼を好むものには及ばない。」出典:論語

卑屈でない人を目指すのではなく道義を楽しむ人を目指す。傲慢でない人を目指すのではなく、礼を好む人を目指す。要は自分のマイナスの部分を無くそうとするのではなくプラスのイメージを持ちながらそれを目指すことを説いています。

自分自身と向き合うとき、どうしても自分の欠点に目がいきがちです。どうにかしてそれを直そうとします。その欠点が直れば何か全てが良くなると思ってしまいますが、それはただの妄想です。

何かを忌み嫌う思いより、こうありたいという姿を願う気持ちの方がより温かく純粋で力強いのです。

 

生の肯定

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前項の1節に代表されるように、孔子は現実肯定派と言われます。孔子は人生で数々の挫折を味わい、最期まで自分の夢を叶えることができませんでした。それでも現実を肯定し、生きることに丁寧だったと言われています。決して恨むことなく人生という過程を大切にしていました。

夢が叶わなくても、その時からどう生きていくか。誰でも挫折や苦労を味わい、それでも生き続けようと思います。だからこそ論語はどう生を肯定し、どう生き続けるかについて多くを教えてくれます。

 

どう生きるか:編集後記

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今では「思いやり」という言葉は自分が相手に対して行うものですが、孔子は、思いやりはまず自分にかけるものだとしています。それは自分を甘やかすということではなく、自分を大切にすることです。自分が満たされなければ相手を満たすことはできません。

自分を思いやるというのは難しいことだと思います。ストイックな人はどこまでも自分にストイック、甘い人はとことん自分に甘い。そういう人のほうが世の中には多い気がします。

ビジネスパーソンでもそういう人がいます。自分に厳しい代わりに部下にも厳しい人や、部下にはやさしいけど締め切りを守らない人は、自分に対して思いやりがない人です。

この世に生を受けた以上、生きることを否定することはできません。論語を読んで、どのように生を肯定し、生きていくか、考えてみてください。

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