20代で読んでおくべき本「古事記」書評

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「古事記」についてまとめました。古事記は現存する日本最古の歴史書です。日本の誕生について、神道の考え方で書かれています。グローバル化が進む日本で、今一度日本人とは何かを考え直すきっかけになります。

古事記ってどんな本?

古事記は日本に現存する最古の歴史書です。日本がどうやってできたのかを知るための手がかりが詰まった貴重な史料です。

国際化が進むと必然的に日本人としての存在意義が高まってきます。日本を知るということは自分を知ることに繋がります。これから世界に羽ばたく20代の人たちが自分の祖国である日本の成り立ちを知り、海外の人に日本の価値観や精神性を伝えてもらうためにこの本をオススメします。

 

古事記の詳細は?

約1300年前の日本人がまとめた古事記は日本最古の歴史書です。国家の正式な歴史書とされる日本書紀と比べて文学性が高く、物語風です。

日本書紀は海外の国々に日本の天皇制を認めさせるため都合がいいようにまとめたと言われています。ある意味天皇そのほか支配階級の人々を奉るためにでっち上げまでは言わないまでも、作り上げた歴史書と言われています。

一方古事記は、政権に背いた人や、争いに敗れて消えていった人たちの悲劇の方に重点が置かれているように読み取れます。

古事記は日本各地の神話や歴史をまとめた本です。ですから作者という人はいませんが、編纂に関わったとされるのは天武天皇ほか3名と言われています。

古事記の序によると、中大兄皇子(天智天皇)の時代に聖徳太子などがまとめた歴史資料を収めた倉庫が火事になり、歴史書がほとんどなくなってしまったそうです。

当時各地で神話や歴史の解釈がバラバラに伝わっていたこともあり、天武天皇があらためてこれまでの歴史をまとめ、また解釈も統一しようと古事記を作ったと言われています。

古事記は上中下の3巻に分かれています。上巻は日本神話をまとめた話。中巻は天皇が日本を1つにまとめていく話。下巻は天皇の権力闘争が描かれています。

 

日本が生まれた瞬間

有名な一節を紹介します。「天の御柱(てんのみはしら)」というタイトルで日本が生まれた話です。

自転島(おのころしま=地球)に降りてこられた御二柱(おふたり)の神様は、天が空から落ちてくることがないよう、真っ先に天と地の間に大きな太い柱を立てました。

イザナギは、イザナミの美しい眼を見つめながら「私と貴女が結婚して、立派な国を産みたいと思いますが、貴女のお考えはどうですか。私のお嫁さんになって下さいますか。」

と尋ねます。するとイザナミは嬉しそうに眼を輝かせながら「まぁ何と素晴らしいことでしょう。結婚して、ご一緒に国を産んでまいりましょう。喜んでお嫁さんになります」とお答えしました。

結婚のために、花婿のイザナギは天の御柱の左からお廻りになり、イザナミは右からお廻りになりました。ところがイザナミは、あまりの嬉しさから、男の神様であるイザナギより先にイザナギに声をかけてしまいました。女の神のイザナミから声をかけたので、産まれた赤ちゃんは骨がグニャグニャの赤ちゃんが産まれました。

(中略)

2人は天の神様にどうしてこのような不完全な子供が産まれたのかとお尋ねになると「女の神様から先に声をかけたのが良くないから、もう1度やり直しするように」ということでした。

2人の神様はもう1度、今度は男の神様から声を掛け直しすると正しい結婚をすることができ、次々と国をお産みになりました。

まずはじめに小さい体の淡路島をお産みになりました。次に隠岐の島をお産みになりました。続いて九州を産み、続いて壱岐の島、対馬、佐渡島など小さい島をお産みになり、最後に1番体の大きな本州をお産みになりました。

初めに8つの島をお産みになったので、それで日本の国を大八島ともいいます。

先に女の神様が声をかけると骨のないグチャグチャの国が産まれるように、家庭においてかかあ天下の家は上手くいかないのです。家庭においては男をたてないと上手くいかないのです。

 

昔の日本人の思想

どうでしょうか。普段向上心を持ってビジネスの世界にいると物事を論理的に進めていくため、このような物語風なタッチに違和感を覚える人は少なくないかもしれません。

ですが我々の先祖たちが、こんなはるか昔にかかあ天下はよくないと伝えていることに面白みを感じます。

また言ってみればこの話は神様同士の情事であり、この手の話は昔は寛大だったんだとということも感じ取れます。

地球のことを自転島と呼ぶのも不思議です。コペルニクスの地動説が唱えられたのは16世紀ですから、それよりも遥か昔に地球を自転島と呼んでいたのには当時の日本人に何か根拠があったのだろうかと謎が深まります。

このように古事記には私たちの祖先がいきいきと暮らしていた1300年前の息吹を感じる話がたくさんあります。日本の起源は複雑で混沌としていて、それゆえに豊かとも言われています。1度古事記を読み日本人の面白さを感じてみてはいかがでしょうか。

 

日本人とは:編集後記

グローバル化が進めば、必然的に外国人と接する機会も増えます。日本語が上手な外国人もいるでしょうし、アジア系なら外見はほとんど日本人と変わらない人もいます。そこで問い直したいのは、日本人とは何かということです。

日本人とは何でしょうか。モンゴロイドで、日本列島に住み、日本語を話している人のことでしょうか。それでは、例えば横綱の白鵬も日本人ということになります。ただ白鵬関はモンゴル出身です。

日本国籍で日本で生まれ育った、という条件をつけたらどうでしょうか。例えば白鵬関が日本で生まれて、日本国籍を取得したら日本人でしょうか。ただ白鵬関の両親はモンゴル出身です。

グローバル化が進む中で、日本人の定義も曖昧になってきています。戦時中なら「日本男児たるもの」といえば誰のことかわかったと思いますが、今では曖昧は人も多くいるのではないでしょうか。

スポーツなどでは、日本代表にカタカナ表記の選手がいることも珍しくなくなりました。今後の日本社会の縮小に伴ってさらなるグローバル化が進行することが予想されますが、古事記を読んで日本人の起源を知ることが「日本人」を知る1つのきっかけになるかもしれません。

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