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2019.11.8
2019.11.8
世界経済フォーラム(World Economic Forum=WEF)とは、本部をスイスのジュネーブに置く世界の大手企業や主要団体などが加盟する非営利財団のことです。世界情勢の改善に取り組む国際機関です。いずれの利害関係にも関与しない独立・公正な組織で、あらゆる主要国際機関と緊密に連携して活動しています。スイスのダボスに本部があり、そこで行われる「ダボス会議」が特に知られています。
詳細は関連記事にまとめてありますので、合わせてご覧ください。
世界の男女平等ランキングを出すうえで使用される指標がジェンダーギャップ指数です。ジェンダーギャップ指数は世界男女格差報告書において毎年発表されています。具体的には、経済活動や政治への参画度、教育水準、出生率や健康寿命などから算出され、各国の資源や機会が男女間でどのように配分されているかについて、以下の4つの分野で評価しています。
ジェンダーギャップ指数4つの評価分野
経済分野では男女間での経済活動の参加と機会の有無を対象としています。具体的には、労働人口の男女比、男女間での所得の男女の格差、企業の管理職や専門職での雇用の男女比等が挙げられます。
2015年時の男女別就業者数は、男性が約3622万人、女性が約2754万人でした。おおよそ男女比は5:4という状態になります。また、民間企業の女性管理職比率は1989年(平成元年)から現在まで徐々に伸びているものの、国際的にみるとまだまだ低いです。
教育分野では男女間での識字率、初等教育や高等・専門教育への進学率及び就学率を対象として評価されています。UNESCOの調査によると、男女別の高等教育進学率は日本は男性が約63.1%、女性が約58.3%です。世界と比較すると低い水準となっています。お隣の国、韓国の高等教育進学率は男性はほぼ100%近い水準で、女性も85%台と高い水準をキープしています。
健康分野では生存を主な対象としています。出生時の性別比、平均寿命の男女差を測ります。2016年時点で日本の男性の平均寿命は約80.98歳、女性は約87.14歳で世界で1番の水準になっています。厚生労働省によると、いずれも過去最高の水準を更新しました。
出典:厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」
政治分野では男女間で意思決定機関へどれくらい参画しているかを比較しています。具体的には、国会議員や大臣職の男女比です。社会のあらゆる分野において、2020年 (平成32年)までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるように期待すると男女平等参画推進本部が決定しましたが、2016年時点での女性国会議員は約9.5%と低い水準です。
世界経済フォーラムの2016年度版ジェンダーギャップ指数での日本の順位は、調査対象144か国のうち111位でした。前年度より10位下がり、過去最低の水準になりました。この結果は先進7か国、通称G7の中で最下位です。110位はネパール、112位はカンボジアとなっています。
WEFの「The Global Gender Gap Report 2016(男女格差報告書)」によると、前項でまとめた日本の分野別の順位とスコアは以下の通りです(1.000が満点)。
分野 | 順位 | スコア |
---|---|---|
経済 | 118位 | 0.569 |
教育 | 76位 | 0.990 |
健康 | 40位 | 0.979 |
政治 | 103位 | 0.103 |
総合 | 111位 | 0.660 |
日本は健康分野や教育分野で順位を上げたものの、経済分野で106位から118位と大幅に順位を下げ、足を引っ張る形になりました。政治分野はそれほど順位は変わりませんでした。
経済分野の順位降下に大きく影響を与えたのが、男女の所得格差です。
男女の所得格差のみの項目でみると、75位から100位に急落しています。今回の急落の主な理由として、WEFが収入の比較方法を改めたことが挙げられます。今まででは特に先進国の収入格差を過小評価しており、実態とかけ離れていました。ただ、その差を実態に近付くよう比較方法を修正したため、今回のように順位が下がったと考えられます。これは日本に限ったことではなく、比較方法の修正が要因でアメリカも同様に順位へ影響が出ました。
もちろん男女間の所得格差だけが問題であったわけではありません。女性の国会議員の少なさや、過去50年間女性の首相が出ていないことなど、様々な要因が今回の低評価に表れていると考えられます。
WEFの「The Global Gender Gap Report 2016(男女格差報告書)」によると、上位5カ国の各分野での順位とスコアは以下の表の通りです。
国名 | 総合 | |
---|---|---|
順位 | スコア | |
アイスランド | 1位 | 0.874 |
フィンランド | 2位 | 0.845 |
ノルウェー | 3位 | 0.842 |
スウェーデン | 4位 | 0.815 |
ルワンダ | 5位 | 0.800 |
・・・ | ||
日本 | 111位 | 0.660 |
上位5カ国のうち、4カ国が北欧の国です。スカンディナビア半島に位置する3つの国が全てランクインしています。
5位にランクインしたルワンダは、1994年に多数派のフツ族が少数派のツチ族を虐殺したルワンダ虐殺で世界に名を知られるようになったアフリカの国です。ただ現在は「アフリカの奇跡」と呼ばれるほど国内情勢は大きく回復しました。
国名 | 経済 | |
---|---|---|
順位 | スコア | |
アイスランド | 9位 | 0.806 |
フィンランド | 16位 | 0.794 |
ノルウェー | 7位 | 0.818 |
スウェーデン | 11位 | 0.802 |
ルワンダ | 8位 | 0.817 |
・・・ | ||
日本 | 118位 | 0.569 |
経済の分野は、経済活動に平等に参加できているかどうかが評価されます。
例えばノルウェーの会社法では、取締役が10人以上いる場合いずれの性別も40%を下回ってはならない、という決まりがあります。つまり上場企業は女性役員が40%以上を占めなければならないのです。この制度は現在では広く受け入れられるようになり、アイスランドなどでも導入されています。
OECDが公表した「雇用アウトルック2015」によると、スウェーデンでは25歳~54歳の女性の平均就業率は約82.8%となっています。OECDでは第1位の水準です。
出典:日本経済新聞 2015/7/9「女性就業率、日本は34カ国中24位 OECDまとめ」
国名 | 教育 | |
---|---|---|
順位 | スコア | |
アイスランド | 1位 | 1.000 |
フィンランド | 1位 | 1.000 |
ノルウェー | 28位 | 1.000 |
スウェーデン | 36位 | 0.999 |
ルワンダ | 110位 | 0.958 |
・・・ | ||
日本 | 76位 | 0.990 |
外務省によれば、アイスランドは初等教育から高等教育にかけて学校の大半は公立で、私立はほとんどありません。
日本のような受験制度はなく、中等教育を受けたい人は初等教育の時の成績と自分の希望に合わせて学校が決まります。中等教育を修了すれば自動的に高等教育を受ける権利が与えられます。そのためアイスランドでは中等教育修了後すぐに大学へ入学せずにアルバイトをしたり旅行に行ったりする人も多いといわれています。大学では誰でも自分の好きな学部に入ることができ、自身の希望に合わせて柔軟に学部を変更することも可能です。
出典:外務省「アイスランド共和国」
国名 | 健康 | |
---|---|---|
順位 | スコア | |
アイスランド | 104位 | 0.970 |
フィンランド | 1位 | 0.980 |
ノルウェー | 68位 | 0.974 |
スウェーデン | 69位 | 0.974 |
ルワンダ | 89位 | 0.972 |
・・・ | ||
日本 | 40位 | 0.979 |
健康の分野では、上位5カ国のうち4カ国は日本よりもスコアが低いです。日本は長寿大国であり、健康面は高い評価を受けています。
健康分野で第1位のフィンランドも日本と同様に平均寿命が80歳を超える国です。フィンランドは北欧の国で、国土のおよそ30%は北極圏にあります。そのため冬は長く厳しい地域です。フィンランドはサウナが有名で、サウナの後「雪の上に寝る」という寒冷療法があります。
サウナに定期的に通っている男性はそれほど頻繁に行かない男性に比べて長生きし、突然の心臓発作で死亡する確率も低いとの調査結果もあり、フィンランドの長寿につながっている可能性があります。
国名 | 政治 | |
---|---|---|
順位 | スコア | |
アイスランド | 1位 | 0.719 |
フィンランド | 2位 | 0.607 |
ノルウェー | 3位 | 0.576 |
スウェーデン | 6位 | 0.486 |
ルワンダ | 8位 | 0.452 |
・・・ | ||
日本 | 103位 | 0.103 |
上位5カ国にランクインした国は例外なく政治分野のスコアが高いです。ノルウェーは2013年に史上2人目の女性の首相が誕生しました。リクスダーゲンと呼ばれるスウエーデン議会は一院制で定数は349議席、そのうち約45%を女性議員が占めています。
日本は1999年に発表された「男女平等参画社会基本法」から女性の社会進出を推進してきました。安倍政権も2014年から「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げています。安倍首相が内閣改造で女性を登用したニュースも話題になりました。男女格差が著しかった以前と比べると徐々に変わりつつありますが、まだまだ課題があります。
女性社会進出には周りの理解が不可欠です。例えば出産や育児と仕事を両立する職場制度が整っていなければ、働きたくても働くのをあきらめる女性が出てきてしまいます。
福利厚生の1つとして育休制度を設けている会社は多くありますが、その制度を活用できない女性が多くいるのも事実です。なぜなら、制度自体はあるものの人手不足などにより職場環境が悪い場合があるからです。さらには、マタニティハラスメントで悩む女性も少なくありません。子育て支援が充実してないがために、家庭から職場に復帰できないことも考えられます。
女性の社会進出を推進する一方で、解決しなければならない様々な課題があります。他人ごとではなく、私たち自身が女性を受け入れれる風土を作っていく必要があります。
女性が気楽に社会進出できる制度や環境が整えば、ビジネスやサービスの場において新たなチャンスを作ることが期待できます。女性が輝く社会が実現すれば、男女の格差もなくなる日が来るかもしれません。