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2016.10.27
2016.10.27
地上波テレビ局だけに限れば、日本には129の放送局があります。そのうち1つがNHK、13がMXテレビをはじめとした独立局で、残りの115が民放と呼ばれる民間放送局です。
東京キー局は日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の5つです。これらをキーステーションと呼びます。5つのネットワークを構成し、各県に傘下の放送局を置いています。地方局だけでいえば110局もあります。ネットワーク傘下の放送局はキー局の番組を放送します。例えばTBS傘下の地方局はTBSの番組を放送しています。
しかし地方局はキー局の子会社ではありません。会社によってはキー局が数%の株主として出資していることもありますが基本的には別会社です。
放送局は免許事業のため国から放送局をつくる認可を受けます。地元の大企業数社が出資し、株主を構成しています。キー局は同じネットワークでありながら別会社である地方局の放送枠を押さえて、自社の番組を全国に行き渡らせているのです。放送枠を押さえるからにはお金が発生します。これを分配金というのですが、キー局は別会社である地方局に分配金を払って放送枠を買い番組を送っています。
大阪、名古屋、福岡、札幌、広島、宮城の大都市圏は会社設立の歴史も古く、キー局との関係性もほかの小さな地方局と少し違います。これらの放送局を他の地方局と分けて、基幹局と呼びます。
基幹局と地方局の一番大きな違いは自社制作番組の比率です。基本的に地方局はキー局の番組を放送していますが、ここの枠は自社で制作しても構いませんよという時間帯があります。地方局は会社の規模も予算も小さいため、番組制作をするにも限度があります。基幹局は割と体力があるので、他の県では視聴できない地元密着の番組を制作しています。この自社制作番組比率は小さな地方局の場合10%前後ですが、大都市圏の放送局の場合30%前後あります。
またこの時間帯はあなたの局がキーステーション、つまりキー局になってくださいと東京のキー局から番組制作を請け負ったりします。例えばTBSの情熱大陸は大阪の毎日放送が制作している番組です。この日曜深夜の枠は歴史的に毎日放送の制作枠に決まっています。他のネットワーク、他の地方局にも同じような形で昔から放送枠を請け負っている時間帯があります。
余談ですが日本テレビ系列でお昼に放送しているミヤネ屋があります。あの時間帯はもともとキー局である日本テレビが、会社設立以来ずっと制作してきた放送枠です。しかし視聴率の低迷によりテコ入れが必要になり、元々大阪の読売テレビが大阪地区だけで放送していたミヤネ屋を、全国放送に繰り上げて放送した経緯があります。
系列局とはいえ、自分たちで押さえていた枠を他の放送局に渡すことほど屈辱的なことはありません。そこまでしてでも日本テレビ系列の復活を成し遂げなければいけないという、系列局とキー局の強い執念が日本テレビを突き動かした言えます。このようにキー局が長らく押さえて放送枠を基幹局に渡す方向性は、TBSがお昼の枠を愛知の中部日本放送に渡すなど他の系列局でも見られるようになりました。
こうした番組制作に関わるダイナミックな動きに対して、他の地方局は指をくわえて見つめている以外なく、本当に肩身の狭い思いをしています。
放送局の売り上げの6割ほどが東京ですが、東京支社に異動すると自分たちが置かれている立場をあらためて知ります。
地元のテレビ局にいた頃は、広告代理店やスポンサーとある程度対等のお付き合いをしていたとしても、東京支社に来ると110放送局のうちの1つです。スポンサーからしたらそんなに細かくお付き合いをしている暇はないのです。広告代理店も同じで、全ての地方局とご挨拶代わりに夜ご飯でもとなると、110局あるので平日毎晩行ったとしても半年かかるのです。この中で自分の名前と会社をどうやって覚えてもらうのかが勝負になります。飲み会でカツラをとってそれを器にしてお酒を飲む人、脱ぐ人、合コンをセッティングする人、ゴルフなどみんな必死です。大手スポンサーに覚えてもらうために、地方局一社では相手にしてくれないので地方局数社の営業が一緒に組んで飲み会を企画したりもします。同じ系列局は利害が一致するのです。
ただここに虚しい事実があります。こうして営業の顔と名前を覚えてもらい、会社名も覚えてもらったとしても、売り上げが上がる訳ではないのです。上がったとしても、それは売り上げの中の0.0001%ほどにしかすぎません。
このように地方局といっても基幹局とその他の地方局のネットワーク内での立場は大きく異なります。飲んで遊んで楽できるからいいじゃんと東京支社生活を謳歌する人、こんな現状が嫌だと地元への異動願いを毎年出す人、そして退職願を出す人、そんな明暗が地方局にはあります。
日本に129ある地上波テレビ局。5つの東京キー局がそれぞれネットワークを構成し、傘下の地方局の放送枠を使って自社の番組を全国に行き渡らせていることから、子会社ではないもののキー局と地方局のはっきりとした力関係を感じ取ることができます。
またネットワーク内でも基幹局とその他の地方局の立場に差があります。地方局はキー局から番組制作を請け負う時間帯があり、基幹局の制作した番組の中にはキー局で放送されるものもあります。何もできないでいる他の地方局の状況をAさんが「肩身の狭い思い」と表現しているところは印象的です。