地方テレビ局で働くリアル④地方テレビ局のビジネスモデルは?売り上げは伸びてる?

この記事はキャリアについての寄稿記事です。地方テレビ局に勤務されていた経験を持つAさんより頂いた、キャリア体験談を基に構成しています。4記事目の今回は、地方テレビ局のビジネスモデルや売り上げについてのお話です。地方テレビ局の広告収入の現状や問題が詳細に語られています。「地方テレビ局で働く人のリアル①②③」と併せてご覧ください。

決まった時間の広告枠を確保する

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このまま行くと地方局は確実に経営破綻するのではないかと思います。それはテレビ局の売り上げ構造の柱が広告収入だからです。しかも地方局だけでいえばその割合は全売り上げの約80%です。

テレビ広告にはタイムとスポットの2種類があります。

テレビを見ていて番組の冒頭などに「この番組は・・・」と、スポンサー名がアナウンスされるのを聞いたことがあるでしょう。あれはタイム広告というもので、スポンサーはテレビ局が制作する番組そのものに広告を出しています。提供スポンサー名がどこまで読まれるかで何秒のCM枠を買ったかがわかります。キャッチコピーとスポンサー名が読み上げられると1分の枠です。1つのCMは15秒なので、番組内で4回CMが流れます。スポンサー名だけだと30秒枠、無音でテロップのみ「ご覧のスポンサーでお送りします」とアナウンスされるのは15秒枠です。

タイム広告のスポンサー側のメリットとしては、1クール3ヶ月間、決まった時間の広告枠を確保できるということです。さらにその番組の反響がよく視聴率が高くなればなるほど、視聴者に広告が届く可能性が高くなります。デメリットは良い番組になるかどうか博打的であることです。番組の視聴率が悪くても、時間と期間は固定されています。

 

状況の変化に合わせた広告投下

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タイム広告のデメリットを補う形で生まれたのがスポット広告です。番組と番組の間の空いている枠をステーションブレイク(略してステブレ)というのですが、この時間に流れるのがスポット広告です。例えば、あるスポンサーが今月の売り上げがイマイチなのでキャンペーンをしようと考え、急遽テレビCMを流したいとします。タイム広告枠はすでに売れてしまっているので、空いているスポット広告枠を数週間単位で買い、広告を流すのです。

メリットとしては流動性と即時性です。経営状況の変化に合わせた広告投下が可能です。買い方は大きく分けて4つあり、全日型、ヨの字型、二の字型、逆L型といわれています。どの時間帯のどの枠を提供するかは、テレビ局とスポンサーの間に広告代理店が入って交渉しながら決めます。全日型は早朝から深夜までどの時間帯でもいいという広告枠で、4つの中で一番安いです。ヨの字や二の字というのはテレビの番組表の時間帯に由来しています。ヨの字型は朝・昼・夜それに土日、二の字型は土日を除く朝・夜、逆L型は平日夜と土日です。この中で土日と平日夜の枠は人気が高く、逆L型が一番広告枠が高いです。

 

受動的なメディアより能動的なメディア

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広告代理店大手の電通の調べによる2015年度の媒体別の広告費を見てみると、屋外や電車広告といったプロモーション広告を除けば、広告マーケットの約30%がテレビ、インターネットが約20%、新聞雑誌が約10%強です。テレビは広告投下先としてここ数十年ずっと第1位を維持してきました。しかし、前年と比べて伸びているのはインターネット広告費しかありません。インターネット広告は前年比約10.2%上昇しています。テレビ局は前年比-1.4%でここ数年伸びていたとしても数%です。広告投下はインターネットにシフトしていて、この流れは止められないでしょう。

なぜテレビ局の広告収入が減っているのかというと、テレビを見ている人が減っているからです。視聴者はテレビを見ていた時間をスマートフォンを見る時間に変えているのです。また、スポンサーもその広告費を投下する効果に疑問を持っていて、視聴者にとってテレビやラジオといった受動的なメディアより、インターネットの能動的なメディアを活用していくニーズが高まっています。

 

何もせずお金を貰えるおいしいビジネスモデル

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冒頭に地方局の売り上げの約80%が広告収入だと言いました。実は、その20%〜30%弱を占める一大スポンサーがいます。それは東京のキー局です。

キー局と地方局は同じネットワークの系列局ではありますが、別の会社です。地方局が自社で制作している番組の割合は多くて10%で、ほとんどはキー局が制作する番組が流れています。タイム広告も一緒にながれるので、キー局はある意味地方局の番組枠を買っていることになります。これを分配金といい、地方局からすれば何もせず枠だけ空けておけばお金が貰えるおいしいビジネスモデルです。

各局いくら割り当てられるかはその県の人口比率やキー局との関係性によります。したがって、小さな放送局はとりわけキー局の方々と丁寧にお付き合いを重ね、出向先としてキー局の社員を役員として受け入れたり、接待的なことをしたりもしています。ある意味バラマキの制度です。この仕組もあって、地方局はなかなか新たなビジネスモデルに取り組んでいこうという強い意志と行動力に欠けているのではないか、危機感が足りないのではないかと思います。

 

新たなビジネスモデルを見つける:編集後記

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Aさんは地方局は経営破綻するのではないかと仰っています。テレビからインターネットへ広告投下がシフトしていくなかで、広告収入以外の新たなビジネスモデルを見つける努力を怠れば地方局に未来はないでしょう。

また、視聴者にとって受動的なメディアより能動的なメディアのニーズが高まっています。視聴者はテレビを見ていた時間をスマートフォンでSNS、ゲーム、メール、動画に費やす時間に変えており、テレビを見ている人は減ってきているようです。

次回の記事では、テレビ局は全国にいくつあるかや民放キー局と地方局の違いについてのお話をまとめてお送りします。

③キャリア・将来性◀    ▶⑤民放キー局との違い


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