同一労働同一賃金とは?法案や判例、海外の状況は?

この記事の結論は「同一労働同一賃金は現在日本政府が整えようとしている賃金制度。2016年5月に同一労働同一賃金に関する判決が初めて出たことで話題になった。日本での導入には課題があるものの、柔軟に対応して同一労働同一賃金を促進することが求められる」です。同一労働同一賃金は欧米ではスタンダードな給与形態です。日本では2016年になって注目を集めている働き方改革の目玉となっています。この記事では、同一労働同一賃金について、法案や判例、海外の状況についてまとめました。

同一労働同一賃金とは?

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同一労働同一賃金とは、同じ仕事をする従事者は同じ水準の賃金を受け取ることができるという概念です。

日本政府は同じ会社内で同じ仕事をするのであれば、正規雇用者と非正規雇用者の給与を等しくなるように環境整備に努めています。同一労働同一賃金は働き方改革の大きな柱として現在、注目を集めています。

注目を集める背景に非正規雇用者の増加が挙げられます。総務省統計局の「労働力調査」によると、2015年現在の非正規雇用者の人数は約1980万人、全労働者人口の約37.4%を占めています。その非正規雇用者の受け取る年収は199万円未満である人の割合は約75.9%です。つまり非正規労働者のおよそ4人に3人が年収199万円未満であることがわかります。

非正規雇用者の平均年収は正規雇用者よりもかなり低いといえます。政府としてはどんなに物価上昇に励んでも、規模が大きい非正規雇用者の賃金が上昇しなければ経済に良い影響が及ばないと判断し、同一労働同一賃金に力を入れることにしました。

 

同一労働同一賃金を推進する法案、判例は?

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同一労働同一賃金について規定した法案は「同一労働同一賃金推進法」と呼ばれます。2015年9月に施行されたばかりです。

法案に解釈余地を残したことで拘束力が弱いと批判されていますが、日本に同一労働同一賃金を推進する目的を持った法案ができたことは画期的なことでした。

同一労働同一賃金を焦点にした判例があります。

2016年5月13日、定年後に再雇用されたトラック運転手の男性3人は「正社員と同じ仕事内容なのに賃金に格差があるのは違法だ」という主張をしました。これに対して東京地裁は、雇用主である会社に正社員と同じ賃金の支払いを命じる内容の判決を言い渡しました。

同じ仕事内容でも、再雇用者の場合賃金を割安にして雇用することが広く一般的でした。ただこの判例により、企業は正規雇用者と非正規雇用者における仕事内容の違いや職務の範囲、時間の長さなど違いを明確にしなければ、賃金に差をつけられなくなったのです。

 

同一労働同一賃金の問題点は?

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同一労働同一賃金が抱える問題点とは何でしょう。主な問題点は以下のとおりです。

  1. 一般的な企業は年齢給を採用しており、変更するのが難しい
  2. 職務が明確ではない
  3. 労働者の能力や資質を考慮していない

年齢給とは年をとれば給与が上がるという日本古来の賃金制度です。例えば年齢給をもとにすると、24歳の若手と30歳の平社員が同じ内容の仕事をしていても、30歳社員の給与の方が高くなります。まさに年功序列を体現する賃金制度ですが、同一労働同一賃金と相容れない制度であることがわかります。企業は制度設計を全面に見直す必要性に迫られるので、変更できるのか疑問視されています。

また、日本の職務はあいまいであることが多いです。そもそも正規雇用者において総合職や一般職での採用が一般的であり、特に総合職は何でもやるといった性質を持つため、同一労働同一賃金の要である仕事内容がはっきりしていません。

最後に、個々の能力や資質が考慮されないためにかえって不公平感が生じるのではないかという考えです。能力が高い・資質があると判断される人にはより多くの賃金を支払われるべきだという意見です。

 

同一労働同一賃金を採用する海外の状況は?

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同一労働同一賃金を巡って海外の事情はどうでしょう?そもそも同一労働同一賃金はいわば職務給であり、世界的にはスタンダードな賃金制度になっています。特に欧米では同一労働同一賃金が進んでいます。

ただ、欧米での職務給は範囲レート職務給を採用しており、1つの職務に対して1つの賃金を支払うわけではありません。職務に対して幅のある賃金レートがあり、人事の査定が入ることで賃金が明確に決定されます。海外では明確に仕事が分けられており、各労働者はどんな仕事をしているのかがはっきりしているので、同一労働同一賃金が成立しています。

同一労働同一賃金が成立しているために、欧米のほうが日本よりも正規雇用者と非正規雇用者との賃金格差が小さいです。日本では非正規雇用者の賃金は正規雇用者の賃金の約60%分しかもらえておらず、先進国の中でも下位になります。

 

日本に同一労働同一賃金を

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現在の日本経済の閉塞感を踏まえると、段階を経て同一労働同一賃金の採用に踏み出す必要があります。非正規雇用者の賃金の低さは先進国の中でも低く、改良する余地が大いにあります。非正規雇用者の賃金が改善され、社会にお金が巡回するようになれば日本経済の閉塞感を打開することができるかもしれません。

 

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