地方テレビ局で働くリアル①人数や年齢構成、職種や仕事内容は?

この記事はキャリアについての寄稿記事です。地方テレビ局に勤務されていた経験を持つAさんより頂いた、キャリア体験談を基に構成しています。1記事目の今回は、地方テレビ局で働く人の人数や年齢構成、職種や仕事内容についてのお話です。地方テレビ局と在京キー局の違いや売り上げなどが詳細に語られています。

地方には地方のテレビ局がある

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一家に一台あるテレビ。そこから毎日テレビ番組が放送され、もはや空気のような存在と言っても過言ではないでしょう。東京生まれ東京育ちの人は知らないかもしれませんが、田舎に行けば地方局、ローカル局があります。ローカル地方局とはどんな規模でどんな仕事をしているのでしょうか。

テレビ局は東京に本社がある在京キー局を中心とするネットワーク局と、そこに属さない独立局があります。例えば、関東ではMXテレビやテレビ神奈川、テレビ埼玉、千葉テレビが独立局に該当します。これらの放送局は独自に制作した番組の他に、ネットワーク局が制作した番組や映画会社が制作したものなど、他のコンテンツ会社から権利を買ったものを放送しています。番組の権利を買うことを業界では番組販売、略して番販と呼んでいます。

地方局は厳密に言えばキー局のネットワーク傘下にある田舎の放送局ということになります。大阪、名古屋、福岡、札幌といった大都市圏にあるネットワーク傘下のテレビ局を基幹局といいます。地方局ですがキー局から番組の制作を依頼されたり、海外に特派員を派遣したりするなど、他の地方局よりも格上です。

 

地方局は社員数が少ない

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基幹局以外の地方局の社員は概ね100人前後です。人数が少ないので全社員の顔と名前はほぼ一致します。キー局も含めすべての地方局は昭和30年代以降に設立しているので、歴史はまだ浅いです。地元の名士や地元の有名企業、地方紙が株主になっている会社がほとんどで、そこからのコネで入社する人も多くいます。必然的に地元の政治家の親戚や子供なども社員にいたりします。

新入社員は毎年数名なので入社倍率は高いです。大げさな表現ですが、入社してすぐに退職されてしまうと会社の存続に関わるほど、1人の退職による影響は大きいです。そのため昔はほとんどなかったのですが、最近では中途採用を募集している会社が多いです。

年齢構成はバブル世代の社員が一番多く、採用には景気の影響がもろに出ています。平均年齢は30代後半なので一般企業に比べれば比較的若い人が多いのではないでしょうか。

 

 地方局の売り上げの約80%は広告収入

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職種は大きく7つです。報道・制作部、アナウンス部、事業部、技術部、営業部、編成部、総務部です。

報道・制作部はニュースの取材や編集、番組の制作を行っています。アナウンス部は局の顔ともいえるアナウンサーが所属する部署です。事業部はコンサートや展覧会などの開催といったイベントの企画運営を行っています。技術部は放送を流したり映像を編集したりする機器や送電設備などの放送に関わる機材設備の保守や点検作業、新しい設備の導入などが主な仕事です。

営業部はスポンサーを集めることが仕事です。テレビを見ていると番組提供のCMが流れますが、そのスポンサー集めを広告代理店と組んで営業しています。地方局の売り上げの約80%はこの広告収入です。

編成部はどの時間帯にどの番組を流すか、CMの枠をどのくらい確保し各支社にどのくらい配分するかを決めるテレビ局のコントロールタワーです。総務部は社員の福利厚生はもちろん、人事や労務管理などテレビ局の社員が働きやすい環境を作るバックオフィスの役割を果たしています。

どの部署に配属されるかは当然その時の会社の状況に従わざるを得ません。しかし、社員の育成方針が会社によって大きく異なり、1つの部署から異動がほとんどないテレビ局もあります。私が知っている限りで言えば、20年間営業部から出たことがないという人もいました。

 

 地方局は大都市圏に支社を置いている

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これらの部署の他に地元に数か所の支社を置いているほか、東京や大阪などの大都市圏に支社を構えています。特に大都市圏に支社を置くのは営業部と編成部です。その理由を営業部と編成部に分けて説明します。

まず営業部です。例えば東京に支社を置くのは東京のスポンサーから広告を集めるためです。先ほど地方局の売り上げの約80%が広告収入と述べましたが、その半分は東京の売り上げです。比率でいえば売り上げの約50%が東京、約30%が大阪名古屋、約20%が地元その他です。どの地方局も似たような比率なので、各地方局はすべて東京大阪に支社を置いています。ちなみに東京では昔、広告代理店の電通が銀座にあった名残から、銀座周辺に支社を構えている局が多いです。

次に編成部です。編成部は番組表のラインナップを決めるとき、東京にあって地元にないネットワークの放送局などから番組を購入するという仕事があります。私の地元にはテレビ東京のネットワーク局がないため、普通であればテレビ東京の看板番組である「なんでも鑑定団」を視聴することができません。しかし、そうした番組を放送する権利を購入することができるのです。このように地元で放送する番組を購入し放送するまでの作業を行います。

東京の編成部には、CMを流す枠を地元の編成部と調整するという仕事もあります。テレビ局の売り上げの半分が東京なので、東京で契約したCMをたくさん流したいところです。ただ地元や大阪で契約したCMも流したいわけで、広告枠を勝手に使うことができません。各支社の営業部と編成部が今後どのくらいの広告量が見込めそうか情報交換し、広告を流せるおおよその枠の量を各支社と調整する必要があります。ちなみに編成部が広告枠を各支社に開放することを枠切りと言い、広告枠がなくなってしまうことを業界ではパンクと言います。

こうして見てみると、テレビ局の大半はお金を使う部署で、お金を生むのは営業部と事業部しかありません。報道・制作部は営業部並みに人数が多く、仕事量は社内で一番といってもいいくらい多いのですが、1円もお金を生みません。また事業部はイベントを開催すれば赤字になるといわれるほどコストがかかり、黒字化できている地方局はほとんどないと聞きます。このような利益構造をどう変えていくかという問題に、各地方局が頭を抱えているのが現状です。

 

一人ひとりの影響力が大きい:編集後記

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地方局の社員数は少なく、概ね100人前後で新入社員は毎年数名です。そのため入社後にすぐ退職されてしまうと会社の存続に関わるほど、一人ひとりの会社に対する影響力は大きいようです。

地方ローカル局が東京や大阪などの大都市圏に支社を持っていることはあまり知られていなかったのではないでしょうか。地方局の売り上げの約80%が広告収入であり、そのうちの半分が東京の売り上げです。地元の売り上げがわずか20%というのは、想像していたよりも少ない印象でした。

次回の記事では、地方テレビ局で働く人の給与や待遇、働き方や生活についてのお話をまとめてお送りします。

▶②年収・待遇・働き方・生活

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