TPP協定とは?TPP協定発効のメリット、デメリット、今後の行方は?

TPP協定とは太平洋地域においてヒト・モノ・カネの動きを活発にする協定です。TPP協定には一長一短があり、立場によって意見が異なります。トランプ大統領になりアメリカのTPP協定離脱が表明されました。TPP協定が発効されれば、我々の日常生活に影響を与えかねない重要な協定です。TPP協定に参加するか否かについてしっかり議論を進めていくことが求められます。アメリカがTPP協定離脱を表明した今後どうなるかに注目です。この記事では、TPP協定について、発効のメリットやデメリット、TPP協定の今後の行方についてまとめました。

TPP協定とは?

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TPP協定とは、アジア太平洋地域においてモノの関税を撤廃し、サービスや投資の自由化を進め、幅広い分野でルールの構築を目指す経済連携協定です。

域内ではヒト・モノ・カネの動きが活発になり、参加国の経済成長を促す効果が期待されています。

TPP協定の正式名称は環太平洋パートナーシップ協定、または環太平洋経済連携協定です。

「環太平洋パートナーシップ=Trans-Pacific Partnership」の頭文字をとってTPP協定と呼ばれています。

TPP協定参加国

2016年9月にTPP協定に参加することを表明していた国は

  • オーストラリア
  • ブルネイ
  • カナダ
  • チリ
  • 日本
  • マレーシア
  • メキシコ
  • ニュージーランド
  • ペルー
  • シンガポール
  • アメリカ
  • ベトナム

計12カ国でした。

2017年1月20日、アメリカはトランプ大統領就任により、即日で、TPP協定離脱を表明しました。

仮にTPP協定が発効された際には、12カ国が集まる太平洋域内で全世界のGDPの約36%を占める巨大市場が出来上がります。

しかし、TPP協定発行には規定上、アメリカの批准が必要なために、TPP協定の発行自体が難しい状況になりました。

現在は加盟国がTPP協定に大筋合意し、各国が国内にて議会承認を得る段階に入っている状態でした。

 

TPP協定の原点は?自由貿易主義とは?

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そもそも、なぜTPP協定を締結することになったのでしょうか。

実は似たような出来事が過去にも起こっています。

TPP協定の源流にあるのが自由貿易主義という思想です。自由貿易主義は19世紀ごろから生まれました。

当時の世界の中心であるイギリスは、自由貿易ではなく重商主義(のちの保護貿易)と呼ばれる貿易体制を採択していました。

重商主義とは「輸出によって外貨を獲得することで自国を豊かにする」という考え方です。

この考えは反対に「外国製品を輸入して貨幣が外国に流出すると自国が貧しくなる」ということでもあります。

その考え方に異論を唱えたのがアダム・スミスやリカードです。

自由貿易主義とは?

自由貿易主義は「自由貿易によって最も効率的な資源配分が行われ、貿易関係にある国はともに成長することができる」という思想です。

一説によると、明治期の日本経済は、日本政府が外国のモノに対して関税をかける権利がなかったために、飛躍的な成長を果たしたとされています。

自由貿易が本格的に始まったのは1830年代頃からです。

当時のイギリスは産業革命のもとで国力を高め、イギリス資本を世界市場に拡大することに成功しました。

イギリスは自由貿易のもとで世界に対して大きな影響力を持つことになります。

自由貿易主義の暗部

ただ、この頃はアヘン戦争などが代表するようにイギリスが推し進める自由貿易は帝国主義的性格を備えていました。

現在のグローバル企業が発展途上国に対して支配的な影響力を持っているところと類似しています。

ただ、イギリスは農産物の輸入に伴って自国の農産物や土地の価格が急落し、農業は縮小していきました。

自由貿易の終わりは1930年頃からです。

きっかけは世界恐慌であり、イギリスも含め世界の強国は保護貿易にシフトしました。

ここから自由貿易は恐慌に弱いということがわかります。

 

TPP協定発効のメリットは?

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TPP協定が発効される際に発生する主なメリットは以下の6つです。

TPP協定発行の6つのメリット

  1. 国際競争力が高まる
  2. 商品の価格が下がる
  3. 国民医療費の増加抑制
  4. 投資環境が整備される
  5. 知的財産の保護が徹底される
  6. 労働力の移動が活発になる

1.国際競争力が高まる

輸出品に関税がかからなくなるため、自動車関連や工業品、サービス業といった日本が得意とする分野において特に国際競争力が高まるとされています。

日本経済を牽引することが期待されるため、政府・与党や経団連、多くの業界団体が推進の立場を示しています。

2.商品の価格が下がる

外国産の安い農作物が日本に流入することで、従来の価格より安く食材を買える可能性があります。

また、外国産の農作物との競争が働き、日本の農業を活性化させるきっかけになるのではないかと期待されています。

3.国民医療費の増加抑制

通常医薬品や医療機器の開発費は高額であるため、関税が撤廃されれば購入の負担が減って国民医療費の増加を抑制することができるとの見方があります。

4.投資環境が整備される

投資のルールを統一化することがTPP協定に盛り込まれています。

投資環境が整備されれば、投資が活発になり、成長分野に良い影響をもたらすことが期待されます。

5.知的財産の保護が徹底される

知的財産の保護が徹底されることで、アニメなどの人気コンテンツの利益が保護されます。

6.労働力の移動が活発になる

高度人材の移動が活発になることで、さらなる成長に期待されます。

 

TPP協定発効のデメリットは?

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TPP協定発効に伴うデメリットはどうでしょうか、主なデメリットは以下の4つです。

TPP協定発効のデメリット

  1. デフレの可能性
  2. 日本の農業が縮小する
  3. 食の安全が脅かされる
  4. 医療格差が広がる

1.デフレの可能性

価格が安い輸入品に伴い、国内で生産されている製品の価格が下がることが予想されます。

もし物価が持続的に下がってしまった場合、デフレ状態になります。

物価の下落に伴い売上高が減少すれば、従業員の給料を下げたり、解雇せざるをえなくなるため、景気が冷え込むと予想されています。

2.日本の農業が縮小する

もともと日本の農業は非効率的と指摘されている中で、外国の安い農作物が流入すれば、競争に勝てない農業従事者が現れることが予想されます。

食料自給率の低下が懸念されます。

3.食の安全が脅かされる

TPP協定に参加すれば、規制の緩い外国産の食料が日本に流入する可能性があります。

特に遺伝子組換え食品に表示義務がないため、知らぬ間に遺伝子組換え食品を口にする機会が多くなる可能性があります。

4.医療格差が広がる

現在の日本では健康保険法をもとに誰でも平等に医療を受けられますが、TPPに参加することで医療はビジネス寄りになると考えられています。

例えば、高所得者は高額な医療費を支払うことで質の高い医療サービスを受けられるのに対して、低所得者は質の低い医療サービスしか受けられなくなる可能性も十分考えられます。

 

TPP協定の今後の行方は?

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2015年10月5日に大筋合意が決まったTPP協定。現在は各国が国内で承認の手続きをとっている段階です。

現在、日本ではTPP協定の議論の真っ只中です。

政府・与党は成長戦略の切り札としてTPP協定を位置づけており、早期承認を目指しています。

全国銀行協会や日本貿易会、日本自動車工業会といった経済界が早期承認を求めています。

これに対して野党・民進党は、コメや麦、牛肉や豚肉などの農林水産物の保護を求める国会決議に違反するとしてTPP協定の批准に反対しています。

アメリカのTPP協定離脱表明

アメリカでは、トランプ大統領がTPP協定の離脱を表明しました。

トランプ大統領は選挙戦中からTPP協定の離脱を掲げてきましたが、大統領着任そうそうに公約を実行したことになります。

TPP協定の発行には規定上、アメリカのTPP協定加入は必要であるため、TPP協定推進している安倍政権は見直しを迫られる形になりました。

他の国においても依然として、国内手続きがうまく進んでいない中の今回のアメリカの離脱表明です。今後、日本を含め、TPP協定に積極的に進めてきた政府の動きに注目する必要があります。

 

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