生き方

外資系生命保険営業のリアル②働き方や仕事内容は?

この記事はキャリアについての寄稿記事です。外資系生命保険の営業職として10年間勤務された経験を持つAさんより頂いた、キャリア体験談を基に構成しています。2記事目の今回は、保険営業の働き方や仕事内容についてです。見込み顧客の探し方や契約までの流れが詳細に語られています。「外資系生命保険営業のリアル①転職した経緯は?」と併せてご覧ください。

あなたの仕事は見込み顧客の発見

shutterstock_133532750

外資系保険営業は月曜午前、木曜午前のミーティング以外、特に勤務時間は決まっていません。月曜日はメンバーひとりひとりが先週の契約件数や最近感じていることなどを話す場が設けられています。入社当時は、契約件数100件と発表する先輩がいて、どうやったらそんなに多くの契約ができるのか不思議に思っていました

朝は何時から働いてもいいし、夜は何時まで働いてもいい。休みを取っても取らなくてもいいんのです。自分で会社を興した感覚に近くて、売り上げさえあげていれば何をするのも個人の自由なのです。

そのためにはまず、保険の話を聞いてくれる人を探します。社内では「見込み客の発見」と呼んでいました。また、契約に至るプロセスは「作業」といわれ、一番大切な本当の仕事はここにあると教えられました。

話を聞いてくれる人を見つける方法は、紹介による無限連鎖法を徹底的に教えられました。自分の身内や友人をXマーケット、そのなかから紹介してもらう人をYマーケット、さらにそのYから紹介してもらう人をZマーケットと呼び、これをXYZ理論と呼んでいました。

影響力を利用してマーケットを拡大していく方法なのですが、当然Zに行けば行くほど影響力は小さくなります。

例えば昼に食べたラーメンを友人にすすめて、その友人がすぐに食べに行くでしょうか。ラーメンでさえ難しいのに、我々がするのは生命保険の紹介です。

入社当時にはたくさんの人脈を持っていたとしても、いずれ会える人がいなくなります。簡単に行くわけがなく、この理論が通用するのは一定の層までです。

あとは自分で試行錯誤して人に会える方法を見つけていく。これが仕事の大半を占めていました。

 

小さなYESを取る

shutterstock_336092918

社内で成果を出している人は、様々なことを取り入れながら見込み客発見の独自の方法を確立できた人でした。ある人は直接会える人にターゲットを絞っていました。それは医師です。具体的には、まずアポイントを取って紹介者に会えたら真っ先にこう伝えます。

「自分の話が満足できたらどなたか仲の良い方を3人紹介してください」

相手は軽い気持ちで「いいですよ」と言ってくれます。この布石を打っておき、契約書にサインしたあとさらに尋ねる訳です。

「最初にお会いした時に私の話に満足できたらどなたか仲の良い方を紹介してくださいと言っていたの覚えていますか」

小さなYESを取るという心理学の技術なのですが、いきなり大きなYESではなく小さなYESを積み重ねて最後に大きなYESを取りに行くという手法です。

そして自分の名刺の裏に紹介者の名前と勤務先の病院、紹介者へのメッセージを書いてもらい、これを持って紹介者の病院に行きます。

出待ちをしてまず会うことから始めるのです。これは紹介元のストレスを減らし、自分でアポイントをコントロールするために編み出したものでした。紹介元も友達に電話し、さらに保険の話を聞いてやってとお願いするのは抵抗がありますからね。時間がかかるやり方であり、XYZと順番に会うことは簡単ではありません。

会社にはセミナーを開催し営業につなげる人、メールを駆使する人、お酒の場を切り盛りする人、ゴルフで商談につなげる人、とにかく千差万別のやり方を確立した人が活躍していました。

以前の私は優秀な営業パーソンを、見た目がさわやかで、話も面白くて、体育会系でがっちりしていて人当たりがいい人というようにイメージしていました。

ただ実際は、そうではないということを目の当たりにしました。

当然ですが見た目や性格がどうであろうと、見込み客を見つけて、話を聞いてもらえるテーブルに乗せるまでの独自のやり方を確立し、成果を出した人が優秀な営業パーソンなのです。

私の前職はルート営業でしたので、誰の成果なのかよくわからないけれど、社内で声が大きくて影響力を持ってる人が、仕事ができるような雰囲気を醸し出して、いかにも自分の手柄かのように振る舞っていました。

仕事ができるかどうかは見た目や雰囲気ではなく、自分でマーケットを開拓していく力があるかどうかだと学びました。

 

契約がゴールではない

shutterstock_308466854

保険のマーケットでは、ほとんどの人が何らかの保険に加入しているので、その契約を解約させるだけの理由があるかどうかが最大のポイントです。

幸いなことに日本の保険市場はかつての売り方や商品に問題が多いので、その問題の逆をしっかり行い、会うことができれば契約を取ることができました。

例えば以前の売り方は、会社のお昼休みに出入りして話を聞いてくださいとお願いし、会える約束をとりつけた段階で見積もりを持っていくという流れでした。

相手の家族構成やライフプランの考え方、人となりなど何も知らない段階で見積もりを持って売りに行くことに問題がある訳です。

私も最終的には保険を売りに行くのですが、その過程を大きく3つのプロセスに分けることを教わりました。インタビュー、ファクトファインディング、プレゼンです。

インタビューでは、保険の話を聞いて相手がどう感じるかを聞きます。

興味があると答えた人だけに絞って、次のファクトファインディング、ライフプランをつくるために年収や生活費、人生の目標などについて、ありとあらゆる考え方を聞いていきます。

最後に、プランを見てみたいという人に限り、聞いた話を基に見積もりを作ってプレゼンします。時間はかかりますが、旧来的な保険の売り方よりも納得感、満足度が高いご提案になります。

なぜこんな時間がかかることをするかというと、次の顧客のご紹介をしていただくためです。

かつて日本市場を席巻した商品も保障額がいずれほぼなくなる、保険料が年齢ごとに上がっていくという不満もあって、解約してこちらに切り替えるという人が大半でした。

つまり人に会うことさえできれば、契約がとれました。毎日の最大の仕事は会える人を探すこと、見込み客を見つけることでした

商談中も常に、目の前の人の周りにはどんな人がいるのかを観察しました。商談のゴールは契約ではなく、契約後に新しい見込み客の名前と勤務先と会う方法をゲットすることなのです。

アポイントが無くても誰かに会いに行き、たわいもない話をしました。そのなかに人に会えるヒントがあったり、また思わぬ人に出くわしたりしました。社内にいても何も始まらないので、とにかく誰かに会っていました。

 

契約はコントロールできない

shutterstock_371887177

社内で用意されている毎週の予定表にアポイントを書いていきます。インタビュー、ファクトファインディング、プレゼン、紹介見込み客数などです。

これらを数値化して後に商談分析に役立てていました。「契約はコントロールできないから、コントロールできるインタビュー数を意識しろ」と、とにかくインタビュー数を増やすことを徹底的に指導されました。

営業の成果を上げるためには4つの自信が必要といわれていました。会社、商品、職業、そして自分に対する自信です。

入社当時はテレアポから商談に至るまですべてのロールプレイング、質問に対する答えのトレーニングなどまさしく営業学を学ぶ毎日に、目からウロコでした。

6年ぐらいはとにかくがむしゃらにやっていましたが、次第に熱が冷めてきました

会社と商品に対する自信を段々と失っていき、自分に対する自信もなくなってしまったのです。

自分の理想とする商品だけを提案していくと、売り上げ(単価)が上がらないので契約数を増やしていくしかありません。そうなると、とにかくたくさんの人と商談するしかなく、その過程のなかでだんだんと疲弊していきました。

人を探すのがメインの仕事ってどうなんだろう。

休みの日に気の合う仲間と飲んでいても、頭のなかは見込み客発見のことでいっぱいでした。常に誰かを探す、そんなことを考えて過ごすことが、嫌になっていきました。

 

試行錯誤を繰り返す:編集後記

shutterstock_214138822

Aさんは「社内で成果を出している人は、様々なことを取り入れながら見込み客発見の独自の方法を確立できた人」と仰っています。「様々なことを取り入れる」とありますが、ここに保険の営業の大変さが現れているように感じます。

Aさんが仰っているように、「見込み客の発見」は簡単ではありません。毎回まったく同じ方法で保険の話を聞いてくれる人を探せるはずがなく、できる営業パーソンほどある程度同じ方法を取りつつ、相手の立場や状況によってアプローチにも細かな変化をつけていると思います。

小さなYESを積み重ね、最後に大きなYESを取るという心理学の技術を取り上げていますが、これも試してみて得られた方法です。他にも使われていないけれど試してみた方法は少なくないはずです。こうした成功や失敗を何度も経験し、自分なりのやり方を確立しつつ、臨機応変に対応できる人が成果を出せるのだと思います。

最適な方法を思い悩んで立ち止まっているよりも、いろいろな方法を試して動きまわる方がゴールに近づいていることは確かです。

たくさん失敗するのは嫌だという人もいるかもしれませんが、試行錯誤を繰り返すことが最終的には近道なのかもしれません。

次回の記事では、外資系生命保険営業のリアルな年収、待遇についてのお話をまとめてお送りします。

①33歳で外資系生保営業へ転職◀    ▶③年収と待遇

あわせて読みたい