外資系

外資系生命保険営業のリアル④やりがいや辛いことは?

この記事はキャリアについての寄稿記事です。外資系生命保険の営業職として10年間勤務された経験を持つAさんより頂いた、キャリア体験談を基に構成しています。4記事目の今回はやりがいや辛いことについてのお話です。仕事のどんなところにやりがいを感じたか、仕事をしていて辛かったことなどが詳細に語られています。

生命保険の営業のやりがいは?

shutterstock_93865369

仕事のやりがいは人それぞれだと思いますが、私の場合は「好きで好きでたまらないことを仕事にする」ことです。外資系保険会社の社内には、さまざまなやりがいを持った人がいました。私が見た限り、保険会社で働いている人のやりがいの種類は、大きく4つに分けられます。

  1. 自分の可能性への挑戦
  2. 会社の理念、考え方への共感
  3. 家族への思い
  4. お金

私はこのなかでも特に、会社の理念や考え方への共感に、強い動機がありました

保険会社は、お客様に万一があった時にお金を届けるのが仕事です。社内には「私たちの仕事はお客様に保険金をお支払すること」という標語が貼ってありました。

これはお客様との約束であり当たり前のことなのですが、この考えを当たり前としている同業他社は多くはないのでは?と思います。

私自身何度も、お客様に給付金をお支払いしたことがあります。あるお客様は帝王切開をして、数十万円単位で追加費用がかかりましたが、ご連絡いただいて書類が到着してから3日でお支払いができました。

お支払いまでの日数は業界平均10日程といわれているなかで、このケースでは3倍以上のスピードでお支払いすることができました。

 

生命保険の営業、仕事として向き合った友人の死

shutterstock_217077385
お支払いの仕事はすべて覚えていますが、最も衝撃を受けたのは、高校時代からの友人が亡くなったときのことです。

私の顧客として、生命保険に入ってくれていた彼は、亡くなった当時40代前半で奥様と2人暮らしでした。大手自動車メーカーに勤務し、留学経験で学んだ3ヶ国語を使いこなし、世界をまたにかけて活躍していました。

亡くなったその日はいつも通りに出勤し、午前の会議中に突然脳出血で倒れたそうです。そのまま息を引き取り、天国に逝ってしまいました。

知らせを受けたのは奥様からではなく、共通の友人からでした。

電話で彼が亡くなったと告げられたのですが、何のことか理解できず、呆然としていたのを覚えています。涙が自然と溢れてきました。

一方でここが仕事をするときなんだと、自分を奮い立たせました

我に返り、会社に連絡をし保険契約の詳細を確認をしました。この保険は、友人と一緒に話し合いながら作った、保障額も申し分のない内容でした。

奥様に連絡をして、自分の存在と生命保険があることを伝え、葬儀などが落ち着いたらお会いすることにしました。

奥様も大手企業で働いているので、経済的な負担はなさそうにも見えました。ただよく聴くと、購入したマンションのローンを2人で半分づつ負担していることがわかったので、その分も保障額に追加しました。

労災の認定で友人の勤め先との話し合いがまとまらなかったので、保険金を使って裁判を起こすことにしました。

また彼は一人っ子で、田舎に両親を残していました。何かあったら親に仕送りを送り続けたいという希望を契約のときに聴いていました。

そのことを奥様に伝えると、初めてそのことを知ったようで、支払われた保険金からすぐに仕送りを始めることになりました。

もちろん奥様からは、旦那さんが亡くなった悲しみが消えることはありません。ただ旦那さんが入ってくれていた保険のおかげで、金銭的な不安はなく、今後も生活していけると話してくださいました。

人が本当に困っているときに寄り添える仕事は、どれだけあるでしょうか。
自分の仕事は社会インフラのひとつなのだ。自分の仕事に誇りを持った瞬間でした。

 

生命保険の営業で辛かったことは?

shutterstock_91567268

この仕事は、辛いことも多かったです。

保険の話を聞いてと友人知人に電話して、その後連絡がつかなくなる。

アポイントの待ち合わせ場所に行っても、誰も来ない。

訪問した会社で、出入り禁止になる。

会社から指導されたのは、保険の話を聞いてもらって判断してもらうことです。契約してくださいとは言わないし、お願いもするなということでした。

ただ連絡をもらう方は、保険の契約を前提に話を聞いて下さいと聞こえるのが普通です。連絡がつかなくなってもそれは自分自身が嫌われたのではなく、保険と営業行為が嫌いになっただけだとも言われました。

日常的な否定や拒絶を乗り越えられる、ぶれない信念がないと、この仕事は続けられません。社内にはメンタルをやられて休職する人や体調を崩す人は数多くいました。最悪のケースでは、自ら命を絶つ人もいました。

私自身も、電話に出ることもかけることもできない時期がありました。病院にはいきませんでしたが、いまとなっては精神的な病だったと思います。

家族と出かけても、見込み客を見つける方法やそこから商談につなぐ方法を考え、妻の話も右から左に抜けていました。

大きな金額を稼ぐことと、幸福感を感じることは全く別のことなのだと知りました。

辛いことは仕事にはつきものです。辛いことが努力だと思っているうちは、その仕事に向いていないのではないかと思います。

辛いけどやりたい。辛いけどやるのが自然なことだと思えるようになったら、その仕事は、自分に向いている仕事になったのだと思います

 

仕事に誇りを持てる、その瞬間のために:編集後記

shutterstock_312042770

人が本当に困っているときに寄り添える。自分の仕事が社会に必要だと感じる。

Aさんが、生命保険の営業の仕事に誇りを持つことができた理由です。誇りを持てる瞬間があるからこそ、友人と連絡がつかなくなったり、待ち合わせ場所に誰も来なかったりといった辛い経験をしていても、10年間この仕事を続けたのだと感じました。

一方で、否定や拒絶が日常茶飯事のこの仕事では、Aさんのように無自覚のうちに精神を病んだ状態になったり、最悪の場合、Aさんの同僚のように自ら命を絶つケースもあるといいます。

やりがいを感じることができる。社会インフラのひとつ。うまくいけば大きな金額を稼げる。その裏では、否定や拒絶に苦しむ営業パーソンのリアルがあるのです。

次回は、Aさんがこの仕事を辞めたときのリアル、本音をまとめてお送りします。

③年収と待遇◀    ▶⑤退職した理由と本音

あわせて読みたい

カテゴリー