サッカーで地域発展に貢献したい。Jクラブで働くキャリア④

この記事はインタビュー記事です。現在、Jリーグクラブの大宮アルディージャで広報として働く田口和生さんのキャリアをご紹介します。四回目、最終回の今回は、大宮アルディージャのビジョンや田口さんが考える課題、田口さんご自身の今後のビジョンについて詳細をお聞きしました。これまで一貫してサッカーに携わる仕事をしてきた田口さんは、今後どんなことを目指しているのでしょうか。関連記事「Jリーグクラブで働くキャリア①②③」と併せてご覧ください。

大宮アルディージャが未来に描くビジョンは?

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BraveAnswer(以下BA)編集部:アルディージャの今後のビジョンを教えて下さい。

アルディージャでは2011年に制定したクラブビジョンである「Ardija Vision 2020」に基づき、「未来を、ともに。」をテーマに、「地域の未来」「クラブの未来」「チームの未来」の3つの未来について考えています。

「地域の未来」では、スポーツを中心とした様々な活動を通じて、地域の発展に貢献することがテーマです。

2013年には、さいたま市西区にクラブハウス「オレンジキューブ」と練習場が誕生しました。ここはチームの練習拠点であることはもちろん、ホームタウンさいたま市内の拠点として、チームとファン、サポーターの皆様、クラブと地域の皆様の交流の場としても大いに活用されています。

その他にも、クラブでは様々な取り組みを行っています。各活動を「街」「子どもたち」「社会」「企業」と4つに分類し、「地域の未来」のためにクラブができることを、日々、実践しています

「クラブの未来」では、地域の皆様に信頼いただける、社会に開かれたクラブを目指しています。

アルディージャはプロサッカークラブであると同時に、一企業でもあります。地域の一員として社会的な責任を全うする存在であるために、クラブでは社員、選手、スタッフに対する研修会や勉強会などにも力を入れています

「チームの未来」では、国内トップリーグ(J1)で上位に定着し、常にタイトルを争うチームを目指しています。

アカデミーの育成部では、「ユース」「ジュニアユース」「ジュニア」の3つのカテゴリーにおいて、チームを強くする選手としてだけでなく、一社会人としてもトップで活躍するような人材を育てることをテーマとして活動しています。

埼玉県で12校を展開する「アルディージャサッカースクール」は、サッカーを通じてスポーツの楽しさや仲間と協力し合う大切さなど、心と身体の両面の成長を促す指導を理念として活動しています

BA編集部:田口さんが考えるアルディージャの今後は?

「Ardija Vision 2020」を掲げてから5年以上が経過し、施策などを見直す時期に来ていると感じています。様々な施策を上乗せしてきて、シーズンシート購入者などの数も増え、事業面でも成果が出てきています。

ただ、これからの成長を考えると、限られた予算、時間、マンパワーのなかで、何を選択していくかが重要であり、根拠と勇気を持って何かを止めることで、新しいことにチャレンジしたり、何かに注力したりしていくことが必要だと思います。

 

地域の人から愛されるクラブを

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BA編集部:田口さんの今後の目標について教えてください。

総合型スポーツクラブを作ることです。

スポーツを通じて地域の方と繋がれている状態、勝っても負けても地域の方から愛されている状態が理想です。ヨーロッパの一流クラブのように長く続けば、子供の世代、孫の世代にまでスポーツが文化として受け継がれます。サッカー以外にもフィットネスや違う競技のチームがあってもいいと思います。

スポーツを通じて地域の方々を豊かにすることが、今の目標です。

BA編集部:総合型スポーツクラブを作りたいと思ったきっかけは何ですか?

大学時代に受けた講義で、欧州の総合型スポーツクラブの映像を見ました。もともと「スポーツっていいものだ」という価値観を持っていた中で、スポーツが地域コミュニティの媒介となり、老若男女、街のみんなが一緒になって楽しめる場は素晴らしいと思いました。

教育としての体育からスタートした日本のスポーツは、欧州とは価値観が違うのかもしれませんが、そうした環境が日本でも実現できたら面白いだろうなと思いました。

BA編集部:総合型スポーツクラブを作るために、現在取り組んでいることはありますか?

今は広報として、選手、クラブ、スポーツの価値を上げていくことです。それはトップチームだけでなく、アカデミーやスクールもそうですし、ホームタウン活動やパートナー様と一緒に行う活動もそうです。クラブに関わることをより多くの人に、良い情報として届けることが大事だと思っています。

 

スポーツクラブの持つ可能性を育む:編集後記

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大宮アルディージャは2011年から、「地域の未来」「クラブの未来」「チームの未来」の3つの未来をより良いものにしようとする取り組みを、約10年という長期的な計画で行っています。田口さんの話にもあるように、現在その半分が過ぎ、施策などを見直す時期に来ています。

田口さんは「何を選択していくかが重要であり、根拠と勇気を持って何かを止めることで、新しいことにチャレンジしたり、何かに注力していくことが必要」と仰っていました。

多くの人や企業、団体が協力して取り組んでいる状況で、新しいことにチャレンジすること、今まで続けてきたことを止めること、どちらも勇気のいる決断であり、こうした判断力はきわめて重要と思います。この点からも、Jリーグクラブを運営することの難しさをうかがうことができますね。

スポーツが中心にあるからこそ、様々な人や企業、団体が志を一つに協力をして、地域、クラブ、チームの未来へ向けた活動を行います。

こうして、地域の繋がりも広がっていくのです。

田口さんが仰っているように、欧州などでは、アルディージャの目指すような「クラブと地域コミュニティの関係性」を築いているスポーツクラブが数多く存在します。

スポーツは教育、健康、仕事など、多方面に大きな可能性を持っています。田口さんの目標である総合型スポーツクラブを作ることは、子供の世代、孫の世代にまで続くスポーツ文化を育み、スポーツを通じた地域の方々の豊かな暮らしへと繋がるでしょう。

(BraveAnswer編集部: 浅野)

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